プロラボの「リーダーシップ開発」で大切にしていること

プロラボのシナリオプランニングの目的は、「リーダーシップ開発」と「リアルに活かせる戦略開発」の二つです。

リーダーシップ開発では、「タフな課題に取り組む」ことが重要になりますが、シナリオプランニングにおける、リアルに活かせる戦略を生み出すという課題そのものが、まさにそのタフな課題です。それもただ「タフな課題に取り組む」だけでなく、その取り組みが「対話・議論を重ね、様々な葛藤を経験する」機会になり、その結果として「チームで成果を創出する」ことに繋がっている必要があります。

そういう意味でも、まさにシナリオプランニングのプロジェクトは、「リーダーシップを開発していくプロセス」を辿っている体験とも言えるでしょう。

この”タフさ”とはどのようなものかとうと、プロラボのシナリオプランニングの場合、次世代の組織の中核を担うであろう人々が集まっていることもあり、現業の負荷も相当ある中での参加となります。よってそのバランスを取りながら、これまで使ったことのない「未来からのバックキャスティング思考」を使って「新たな戦略思考のパラダイム」を経験すること。ここに相当なタフさがあります。

ですので我々としても、いかにこの活動に関わっている意義や意味を持ってモチベーションを維持していただくかの工夫が求められるわけです。
我々の役割は、場の「心理的安全性」を担保すること。そして、そこに生まれる「様々な葛藤」を乗り越えていくサポートです。これはただ楽しく愉快に過ごしてもらうだけでなく、対立も恐れずしっかり話し合える関係性づくりをしていくことであり、選択肢を広げながらあらゆる可能性も検討の土俵に乗せて頂くお手伝いをすることです。

プロラボのリーダーシップ開発のプロセスでは、この経験の”質”を大切にしています。

これまで多くの次世代リーダーを送り出してきましたが、終了時に皆さんが言葉に残してくれるのが「この時間の価値」についてです。約1年間にわたるリーダーシップ開発の旅に伴走する仕事は、我々支援者にとっても、相応な覚悟と負荷のかかる取組みなのですが、最後にこの時間への価値を言葉にして頂けることは、本当に有難いことだと思っています。

プロラボのリーダーシップ開発で、もう一つ大切にしていることは”実践へのブリッジ”のプロセスです。

リーダーシップ開発は、このシナリオプランニングのプロジェクト活動を1ターンしたら終わるものではありません。私たちは、組織の「ダブルループ学習」を回し続けていけるリーダーシップを開発することに焦点をあてています。よって、このプロジェクトの経験を如何に日常の現場に足場をかけていくか、そして、ここで得た関係性がコミュニティとして機能し続けていくか。この部分を我々はとても重要視しています。上記の図において背景を黄色くしているところ。これが、現場実践への足場架けのプロセスです。

ですので、シナリオプランニングのプロジェクトを締めくくる時にも、ただの成果発表会にはしません。
どうしても、自分よりも上だと思うポジションの方達を前にプレゼンするとなると、上手く話せるか、正しく話せるか、良い評価をもらえるかという点を考えがちになります。また、プレゼンを受け取る側も、この成果物が使えるのか否かを見定めようとしてしまいます。でも、この場の目的はうまくプレゼンすることでも、成果物を評価することでもありません。

重点ポイントは、メンバーの作った成果物を組織の対話の材料として全員が当事者としてそのシナリオの世界に没入し、共に考えていただく仲間となってもらうこと。そして、参加した方たちが成果物の当事者になっていただくこと。ですので、この発表の場があらさがしの評価判断のフィードバックで埋め尽くされないようにする。我々の存在意義は、このような場づくりをすることにこそあると考えております。

先週は、1年間のシナリオプランニングのプロジェクトの発表会でした。
幸い長くこの活動を支えて見守ってきてくださったマネジメントの皆さんだけあって、その意図はしっかり受け止めて下さり、参加した方が自分ごとで語ってくれました。何よりメンバーの発表がマネジメントの皆さんの想像を超えて素晴らしくて、マネジメントの皆さんも嬉しそうでした。そして、チェックアウトでこの場の体験がどんなものだったかという問いには、それぞれ言葉尽くしてこの場から得られたことを語りあってもらえたのはメンバーにとっても本当に嬉しいことだったのではないかと思います。

海外勤務になったメンバーとオンラインで繋ぐことは想定内でしたが、参加は難しいと言われていた別の海外拠点へ転勤された上長の方もオンラインで入っていただいて、海外2拠点とを繋ぐワークショップ。機材の力をかりながらグループワークも遜色なく出来て、世の中の進化を感じました。

私個人としても、一年間共に過ごしたメンバーの進化・変化をとても頼もしく誇らしく感じながらこの場のファシリテーションをしていました。
シナリオプランニングのプロジェクトは一旦終結点を迎えましたが、ここからが彼らの新たなスタート地点でもあります。これからに大いなる期待を寄せています。