『Re-Authoring the World』という本

3年ほど前から、Chené Swartの『Re-Authoring the World』という英語の本の翻訳に関わっています。

シュネ・スワート(という読み方が正しい発音なのか実は分かっていないのですが)は、南アフリカに住むナラティヴ・アプローチの実践者です。そして、「診断型」から「対話型」へ・・・という組織開発の新たな潮流を提唱したジャルヴァース・R・ブッシュとロバート・J・マーシャクの二人が編集した「対話型組織開発」という本の第16章で「対話型ODパラダイムによるコーチング」を書いているのがこのシュネ・スワートです。

実は、私がナラティヴ・アプローチというものに興味を惹かれたきっかけになったのも、実はこの「対話型組織開発」の本を読んだからでした。
出版は2018年ですので、その時はまだナラティヴを殆ど知らない時。だから最初にこの本を読んだ時も、シュネの書いている文章に?が沢山生まれていました。さすがに今読み返すとシュネが「対話型組織開発」におけるコーチングの「あり方」を、社会構成主義を基盤にしたナラティヴ・アプローチを通して伝えようとしてくれていたのだ、ということは分かるようになりました。

『Re-Authoring the World』は、そんなシュネの南アフリカにおける取組みを通して、組織やコミュニティに対するナラティヴ・アプローチが記述されている本です。

20年の秋ごろ、DeepLで訳されたものを一人でざっくりと読ませていただきました。その後「Re-Authoring the Worldを読んでみる会」を立ち上げて仲間と共に読み進めて3年間。この度めでたく最後まで読み切ることができました。英語の能力もさることながら、ナラティヴ・アプローチへの理解不足もあって、一人で読んだ時は全く読みこめていなかったものが、仲間と読むこと、加えてこの3年間の期間で探究してきた私のナラティヴ・アプローチの理解も徐々に深まっていったこともあり、最後の方はうんうんと頷くことが出来るようにもなりました。まだ不明瞭なところはありつつも、著者の伝えたいことが感じとれるようになった自分の変化も、少し嬉しく思います。

組織にナラティヴを持ち込むということは、特別な何かがあるわけではない、というのが一つの結論かもしれません。
でもそこにはマイケル・ホワイトやデイヴィッド・エプストンのナラティヴ・セラピーの源流が間違いなく流れている、そのことがとても大切なのだと改めて感じています。

今、再びこの本をより日本語としてどう表現するかを考えながら読み返していくフェーズに入りました。どんな形になっていくか、私自身もとても楽しみにしています。

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